片桐 航
(Wataru Katagiri)
プロフィール
10代後半位からいろいろな病気に罹っており、ホメオパシーを始める前は、うつ、不眠、慢性疲労、視線恐怖、緑内障、メニエール病、慢性鼻炎、便秘(下剤を8年間使用し、自力で出すことができず)、慢性胃炎、胃潰瘍、極端に風邪をひきやすい、などがあり、まともに働くこともできませんでした。
肝臓も弱っていたせいか西洋医学の薬はどんなものでも体調が悪くなり使うことができませんでした。
そのような理由で、あらゆる自然療法を試しましたが、根本的な治癒に結びつかず、半ばあきらめていました。
そんな時にホメオパシーを獣医師として長年使ってきた叔母の勧めで、ロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー(現CHhom)に入学し、由井寅子学長から学び、学業と並行し自分にホメオパシーを実践し、卒業するころには、上記のすべての病気を克服していました。
それだけではなく生き方さえも変化し生きることが楽に、楽しくなりました。
その後ホメオパスとして講師、協会理事等を経て、現在は自然療法家の教育に当たっています。
みなさまにもぜひホメオパシーを体験していただき、健康な心と体を取り戻していただければと思います。
経歴
1998年ロイヤルアカデミーオブホメオパシー入学
2001年同校卒業
2001年JPHMA認定ホメオパス及びHMA(英国ホメオパス協会)認定ホメオパス
2002年ロイヤルアカデミーオブホメオパシー講師
2005年日本ホメオパオブシーセンター東京本部所長
2006年ロイヤルアカデミーオブホメオパシー大阪校副学長
ARH(英国認定ホメオパス連合)認定ホメオパス
2008年JPHMA理事に就任
2010年カレッジオブホリスティックホメオパシー講師
2010年日本ホメオパシーセンター杉並方南町開設
2015年JPHMA理事及びカレッジオブホリスティックホメオパシー講師退任
2016年自然療法家が学ぶための《自然療法家コース》を主宰する。同年、あらゆる自然療法家がコンファレンスを行う《創造的治癒の空間》を企画し、全国でそのホスト行う
2020年ホメオパシーの普及とホメオパスの能力の向上を目的としたコミュニティ「Homoeopathy Next」オーナーとしての活動を開始する
資格
JPHMA認定ホメオパスNo.012
HMA認定ホメオパスNo.928
ARH認定ホメオパス
日本ホメオパシーセンター杉並方南町所長
RAH2期生
Homoeopathy Nextオーナー
ホメオパシーとは(1)
ホメオパシーは、今から200年前にドイツの医師ハーネマンがその生涯をかけて確立させた療法で、その起源は古代ギリシャのヒポクラテスまでさかのぼることができます。
ホメオパシーは同種療法あるいは類似療法と訳されている通り、「症状を起こすものは、その症状を取り去るものになる」という「同種の法則」が根本原理になっています。
ギリシャ語で〝同じ〟という意味の「ホモイオス」と〝病気〟を意味する「パソス」を合わせた言葉で、近代西洋医学のように、症状を抑え込む療法とは正反対の、「症状には症状をもって制する」という同種の法則に基づいています。症状は体からにしろ、心からにしろ、必要があって表出しているのであり、それを出し切ることが治癒に つながるという考え方です。
ハーネマンはこの「同種の法則」に、症状を起こすものを非常に薄めて使うことにより、体に悪影響を与えることなく、症状だけを取っていくものとなるという「超微量の法則」を打ち建て、安全で体にやさしく常習性を持たないホメオパシー療法を完成させました。
たとえば、風邪を引くと体が発熱します。ホメオパシーでは、この熱に対し、熱を出す作用のあるものを体内に入れて共鳴させ、もっと熱を出させます。身体はこんなに熱が出ては大変と気づき、何とか治そうとして自己治癒力を活発に活動させます。
ホメオパシーは、この自己治癒力の喚起を狙います。
我々、近代西洋医学の考え方に慣れている現代人にとって、同種の法則がどうして治癒に至るのか理解しにくいですが、たとえば、一昔前には風邪を引いて鼻水が出ると首に長ネギを巻いたものです。長ネギは料理する際に包丁で刻むと鼻水が出る。昔の人は意味もなく長ネギを巻いたわけではありません。それが治癒に至ると知っていたから巻いたのです。
ホメオパシーも、症状をもたらすものを投与し、同種の法則によって治癒に至った膨大なケースの集積の上に成り立っています。
同種療法の考え方の歴史は、意外にも古く、古代ギリシャのヒポクラテスは、「同じようなものが同じようなものを治す」との言葉を残していますが、その後は逆療法が一般に流布し、同種療法は民間伝承や民間療法などの形で細々と受け継がれていきました。 そして200年前、ドイツの医師サミュエル・ハーネマンがマラリヤの症状にキナという植物の樹皮(発熱、悪寒、腹痛、下痢などマラリヤに似た症状を示す)がマラリヤ患者を治すことを発見し、同種療法に傾倒。様々なレメディーの試行錯誤を経て、レメディーの大辞典『マテリア・メディカ』などを著し、ホメオパシー医学を確立しました。
以後、世界各地に広まり、英国国会で「最も安全な療法」と認められたほか、インドでは第一医学として用いられるなど、インドや、ドイツ、南アフリカ、メキシコなどのように、5年制の大学(教育機関)のある国もあり、200年の歴史と多くの症例・ケースをもとに発展してきており、世界的に評価が確立されているものです。ホメオパシーを利用している様々な分野の著名人も多く、21世紀の代替医療の切り札としても注目されています。
ホメオパシーでは症状を抑圧するのではなく、症状を出し切れるように後押しします。そうして初めて心身ともに健康になると考えます。 私達の心や細胞が抱える不自然なパターンを解放し、体の芯から健康を取り戻す自然療法、それがホメオパシーです。
ホメオパシーとは(2)
” 砂糖玉「レメディー」”
ホメオパシーでは、症状を増幅させるときに、ある作用を持つ植物・鉱物・昆虫などを徹底的に薄めた砂糖玉「レメディー」を使用します。
レメディーは、元の物質がなくなるまで薄める「希釈・振盪(しんとう)」という特別な方法によって作られます。
例えば、 熱の症状に使うレメディー「ベラドーナ」の作り方は、とると高熱を発するベラドーナという花をまずアルコールに浸け、原液(抽出液)を作ります。その原液を、アルコールと蒸留水からなる液体に1対99の割合で入れ(希釈)、それを振って叩いて(振盪)混ぜ合わせます。こうして100分の1に薄められたレベルを1C(センチュリー)とし、12C、つまり12回同じことを繰り返すと、原液の物質は分子レベルで分析しても検出されなくなります。これを砂糖で添加し、直径五㍉にも満たない玉を作ります。これがレメディーです。砂糖(てんさい糖)以外の物質は入っていません。
こうして作られたレメディーそのものには、砂糖以外の物質は何もないため、物質作用的な力はないのです。ただ、パターンのようなものが残っているため、体内の症状に共鳴し、自己治癒力の活動を発動させるきっかけを与えることができるのです。レメディーがどのような症状を示すかは、実際に人に投与し、その変化を観察して調べます(プルービング)。身体的な症状だけでなく、感情的な症状も対象になります。たとえば、あるレメディーをとるとイライラし、あるレメディーは悲しくなる。すると、このレメディーは怒り、あるいは悲しみのレメディーとして分類されます。実践結果の元に成り立つレシピなのです。
このレメディーは、不思議なことに薄めれば薄めるほどエネルギーが高くなります。科学的にそのメカニズムは証明されていませんが、実践の場において結果が確認されています。
” 症状は病気ではない”
逆療法では症状を病気と捉え、これを薬や手術によって抑え込むが、ホメオパシーでは症状を病気と考えません。すべての症状は、バイタルフォースという気の流れが滞ることによって引き起こされると考えます。
ホメオパシーでは心と体に加え、魂も含めた三要素が密接な関係にあると考えています。魂はこの世で果たす役割を担う、その人本来の姿(個性)であり、不変のもので、これを真我といい、心は自我といいます。構造的には、真我の周囲に自我があり、自我の周囲に肉体があります。
バイタルフォースは真我、自我、肉体のすべてに流れています。真我は変わらないから、バイタルフォースも常に一定方向に流れています。
最も変化しやすいのは自我です。自我は様々な要因からどうしても真我、つまり本来の生き方から離れてしまうことがあります。悲しい、苦しい出来事に遭遇してその都度乗り越えられればいいが、人生には様々な要因から感情を抑圧しなければならないケースも多くあります。すると自我にこだわりが生まれ、バイタルフォースが滞り、結果、肉体の症状となって現れるのです。これは治癒の方向性と関連があり、後述しますが、自我と肉体の関係に限っていえば、肉体に現れる症状はすべて自我の歪みが原因であります。
つまり、症状は生き方を本来あるべき姿に戻そうとするバイタルフォースの働きの現われであり、病気ではないのです。症状の原因であるバイタルフォースが歪んだ状態こそ病気と考えます。そして、レメディーをとることは、本来のあるべき姿に戻ることにもつながっているのです。
”抑圧は慢性化を招く”
では、症状を出し切ることなく、抑圧したらどうなるのか。症状の抑圧は、本来自己治癒力により治るものを治さないばかりか、出るべくして出ようとした症状は行き場を失い、奥へと入り込み、バイタルフォースの滞りを一層深刻なものとしてしまうのです。すると、無感情、無感動、分裂傾向といった状態へと向かいます。そうして慢性化してしまった症状は、放っておいても治癒されることはありません。
そこで、レメディーによる症状の増幅による自己治癒力の喚起を促さねばなりません。ただし、慢性化した症状を根本から完全に治癒するには、まず抑圧した要因から取り除く必要があります。
ホメオパシーでは、人間には五段の階層があると考ています。まず「根本体質層」があり、次に生きていく中で形成される「基本層」が上に来ます。この上に「病気層」が来て、「薬害層」がその上に来る。従って症状の抑圧によって層が積み重なってしまった状態から、根本体質層まで治癒に導こうとしたら、薬害、病気、基本の各層を、上層から順を追って治癒しなければならず、薬害層を飛び越して病気層に働きかけることはできないのです。
こうなると完全な治癒には膨大な時間と労力を費やすことになります。だから症状の抑圧は恐ろしいのです。そしてもうひとつ、根本体質層の下に位置する最下層に、人間が誰しも生まれ持っている病気の土壌「マヤズム」があります。
”マヤズム”
バイタルフォースの滞りによる症状は種々様々だが、人には特定の型があり、その型によってどのような症状が出やすいかが分かるといったら驚かれるだろうか。
ホメオパシーでは、すべての人間には症状の原因となる病気の土壌があり、根本体質層を形作っている「マヤズム」があると考えます。これは人類の祖先から受け継がれている遺伝体質のようなものです。
マヤズムには疥癬、淋病、梅毒、結核、がんの五種類があるとされ、ひとりの人間が複数のマヤズムを持っているケースもあります。マヤズムは普段は活動せずに眠っているが、ストレスや病原菌や心理的なこだわりなどがきっかけとなって呼び覚まされてしまうことがあります。真我が不変であるのと同じように、マヤズムも治癒することはできません。悪さをしないように、寝かしつけることができるのみです。
このマヤズムは様々な体質的な症状もそうだが、行動についてもそれぞれ一定のパターンがあります。いわば真我の裏の顔なのです。
” 治癒の方向性(好転反応)”
慢性化した症状の場合、レメディーにより症状を増幅させ、治癒に至るプロセスにはある一定の法則があります。大まかにいうと、
①上から下
②中から外
③心から体
④重要な臓器から重要でない臓器
⑤病気が重くなったときと逆の過程へ(完治していなかった過去の重い病気の症状が戻ってくる)、がある。
こうした症状の移行は自己治癒力が発動している証と考えられます。このように、治癒へ向けて症状が移行することを好転反応といいます。
たとえば首にアトピー性皮膚炎による潰瘍ができた場合、かぶれの作用を持つツタウルシから作られたレメディーを与え同種の法則で首の部分を治癒すると、今度は手や足が荒れてきます。治癒の方向性の法則に該当することから、自己治癒力が発動したということになり、やがて最後には潰瘍もきれいになります。こうした経緯があることを知らない人は、レメディーをとって悪化したと思い込んでしまうことがあります。
” 専門家「ホメオパス」”
このように、レメディーとっても症状を一時的に増幅させ、自己治癒力を喚起するだけなので、自分で好きなレメディーを選択して使用しても何ら危険はありません。
ただ、好転反応に対する対処や慢性化した症状の治癒は難しいし、急性症状も単純なものではなく、発熱ひとつをとっても対応するレメディーには様々な種類があります。更にはマヤズムの治癒ともなると、専門的過ぎて一般の人には手の施しようがない。そのために、ホメオパシーを職業とする専門家がいます。
専門家のことを「ホメオパス」といい、日本各地にある協会認定のセンターでクライアントとの健康相談を行っています。健康相談では既往症から性格、考え方、過去の経験など、様々な質問からクライアントの問題を探り出し、適切なレメディーを選択し、様々なアドバイスをします。
◇ ◇ ◇
ホメオパシーは、単に症状を治癒に導くだけでなく、原因である心とからだのこだわりを解放します。本来の自分の役割など、生き方の指針をも示してくれます。
それは、 ホメオパシー自体が力を与えてくれるわけではなく、あくまでも主役は自己に本来備っている力が主体です。従って老人、子供、妊婦の別なく安心して使える。逆療法の考え方が一般的になっている現代日本にとって、ホメオパシーの叡智は多くの示唆を与えてくれます。